忘れないように どんの物語を書いておくことにしました。
しばらくおつきあいくださいね。
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気がつくと、ボクはどこだかわからない暗くとも明るくともないところで浮いていた。
そこは寒くもなく暑くもなく、湿っていたりすることもなく
ほんのりとあたたかなところだった。
ボクは・・・・夢を見ていたのかな?
手にはまだはっきりと握りしめられた感覚が残っている。
あれ?
なんだか体がかるいや。
目もちゃんと見えるよ。
手足の傷も消えているし、皮膚のごわごわもかいかいもないよ。
なーんてラクチンなんだろう。
久しぶりにのびをしよう。
うーーーーんっしょっ。
「起きましたか?」
優しい声が聞こえた。
「あ・・はい。 こんにちわ」
「こんにちは。気分はどうですか? 」
「いいです。あの・・・ボクは夢を見ていたんでしょうか?
ボクは・・・・
ボクはおかあさんが大好きで
おかあさんが幸せになるなら、ボクはどうなったってかまわない
おかあさんが元気がないときはボクは元気をわけてあげたりしてたんです。
そしたら
だんだんからだの調子がおかしくなって、なんにもしないのに手や足ににあながあいちゃった。 痛くて痛くて。そのうちからだ中かいくなってしまって・・・・
そうだ・・・ボクお医者さんにつれていかれたんです。
なんだかむずかしいはなしをして、
おかあさんはお財布をながめながらためいきをついていたっけ。
それから
からだが腫れておもくなって目が見えなくなって
ある日、ボクは箱に入れられて車に乗せられてずーっと走って
とあるところにおろされたんです。
「ごめんね これ以上うちにはあなたにかけるお金がないの。
ほんとにほんとにごめんなさい。」
おかあさんは、そのあとまってもまってもごはんを持ってきてくれませんでした。
しばらくそこにいたんですけど、おしっこしにいって帰ってきたら箱がなくなって
ボクのうちはなくなっちゃって・・・近くの大きな車の下に住むことにしたんです。
でもごはんがなくて ボクはだんだんふらふらしてきて
すぐたおれちゃうようになって
手足の穴は痛くて。
人がきてくれても
きたないとか病気がうつるとかで誰もごはんを持ってきてくれません。
それでもすこうし温かい日がつづいていてよかったんです。
でも急に寒くなって冷たい雨がふってきてボクの寝床の土のくぼみに水が入ってきて
ボクはおきあがりたかったけれど、もう力がなくてあしが痛くて眠くなってしまって
そうだ。鼻に水が入ってボクは目がさめて外に出たんだ。
もういちどおねがいしようとおもって。
ザーザーぶりの雨の中ヨロヨロ歩いては倒れて またおきあがって歩いて
だれかごはんをください。
ボクを助けて下さい。
そうだ、思い出しました。
そのとき声がしました。
「あなたの寿命はまもなく終わります。
このまま誰も来なかったらこのまま土に帰りましょう。
でも、もし あなたの声に気がついてあなたを助ける人がいたなら
あなたの命を8日間だけのばしてあげましょう。」
あなたは、あの声の人ですね。」
女の人は静かに微笑みました。
「ボクは・・・そのまましんでしまったんだろうか?
ボク
なんだかとっても幸せな夢を見ていたような気がします。」
「夢だったかどうか。確かめにいきましょうか?」
「え? そんなことできるんですか? 」
「かんたんなのですよ。思い出すだけてそこにいけますよ。ほら」
ボクは、夢の中で寝ていたお風呂場の様子を思い出した。
気がついたら、ボクはお風呂場にいた。
なつかしいそのお風呂場は、ボクの大好きな段ボールと新聞紙ちぎったトイレと
あたたかなハロゲンのヒーターにボクにいつもかけてくれたふわふわのショールがあったはず。
でも
そこにはボクのいた段ボールもなくがらんとした浴槽だけがあった。
やっぱり夢だったのかな・・・・と思ったら
お風呂場の入り口にボクの大好きだったふわふわのショールがかけてあった!!
よくみたら、おトイレシートや
ああ・・・・ママンさんが用意してくれてたボクのおむつまである。
居間にいったらボクの段ボールがあった!!!
夢じゃなかった。ほんとうだったんだ。
ボクはすごく愛されていて、すごくしあわせだったんだ。

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49日すむまでは、いつでもどんが帰ってきてもいいように
どんの段ボールはこのままにしておくことにしました。
横には水とお線香が用意してあります。
不思議に他の猫はここで寝ることはありません。
きっとどんちゃんがいるのでしょうね。
ちなみにピンクのショールは三枚あって
ひとつはどんちゃんとともに。
もう二枚は手元にあります。
このあと奇跡のようなどんちゃんの日々をどんちゃんの目線で
つづっていくつもりです。
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